研究目的
塙町道の駅天領郷内のレストランは経営母体が道の駅と一元化されたことで、レストランメニューの刷新と第六次産業化の軸となっている地産キノコ・野菜の活用法を考え、メニュー内における地産物の活用を更に増やし、また、軽食・売店や加工品販売所との連携による作業内容の改善・売上の向上を目的とする提案を行う。
更にはメニューにおける、栄養と健康の発信内容を検討する。
研究内容
- 生鮮及び保存キノコを利用したキノコごはん食事パンの製作及び保存方法の検討
- メニューの開発及び、栄養成分の検討・栄養と健康の発信内容の検討
- 料理レシピの対象者別提供方法の検討
- 道の駅レストランにおける地産の農作物を活用したメニュー開発及び、現地メニュー提案会・レシピカードの作成
受託研究期間
令和4年度
受託研究担当者(役職等は令和4年度現在)
東京聖栄大学健康栄養学部食品学科
- 教授・学科長
- 北村 義明(研究担当責任者)
- 教授
- 荒木 裕子
- 准教授
- 福留 奈美
- 准教授
- 吉田 光一
- 講師
- 山本 直子
- 助教
- 折口 いづみ
- 助手
- 哥 亜紀
研究概要
Ⅰ. 生鮮及び保存キノコを利用したキノコごはん食事パンの製作及び保存方法の検討
これまでの受託研究において、昨年度までに、塙町の産品であるキノコの加工品の開発として、ホームベーカリー並びに業務用で用いられる縦型ミキサーを利用した製パン法による食パン型キノコごはんパンを提案した。
1cm程度に刻んだ生または乾燥キノコをそのまま生地に加えるキノコパンは、キノコの食感が味わえるが、その旨味と食感において、小麦粉を使った通常のパンでは若干なじみが良くない。そこで我々は、和のテイストがあり、しっとり感やもっちり感があるごはんパンにキノコを組み合わせたところ、噛むことによってキノコの旨味が口中に広がる和テイストのおいしいキノコごはんパン(食パンタイプ)とすることができた。本年度は、道の駅レストランで提供される食事メューに組み込みやすいロールパンタイプのごはんパン製造法を検討した。また、添加するキノコも、レストランで使いやすいように、道の駅はなわで通年供給されている、生しいたけと乾燥しいたけを使用するごはんロールパンの試作を行ったところ、極めて美味なロールパンとすることができたため、「美味しいたけごはんロールパン」として、提案した。
Ⅱ. 塙町 食事処 天領 ランチメニューの検討
「多くの人に喜んでもらえること」「またあのレストランのあのランチを食べに行きたい~」と思ってもらえるようなランチを目指し、ランチの形式、提供方法、調理方法等検討を行った。
まず、ランチメニューとはどのようなものかを整理し,関東近県のレストラン実地調査を行った。各地で成功を収めている農村再生の「農家レストラン」の展開手法を天領へ応用できるか検討し、集客でき、多くの方に喜んでもらえるレストランのあり方について考察した。
食材を生かしたレストランの例として、
- ①特注の大小穴が開いた丸盆に、美しく盛り付けられ視覚的にも大変美しく、感動を覚えるほど大変丁寧に作られ、それぞれの料理の味のバランスがとれており、心も身体も癒される料理である千葉県市原市のランチプレート。
- ②メイン料理とごはん、みそ汁の提供の前に、9種の前菜を9つに分かれたパレット1枚に盛り付けて提供される、茨城の農家レストランの例。
- ③オーナー自ら作製したお盆を使い、素材から加工品も作って料理に生かしている那須の素材を生かした手作りランチプレート。
- ④自家製パン、自家製ソーセージを生かした栃木県のワンプレート四季のランチ
- ⑤ビッグサイズの主菜の他に副菜をバイキング方式で提供している千葉県袖ケ浦市のレストランの例などを調査した。
また、既存の単品料理の充実化副菜の工夫例として、
- ア)蕎麦を用いたランチメニュー2例(茨城県古河市、茨城県那珂市)
- イ)世界の料理をアレンジする例
等を紹介した。
これらを参考に、天領食事メニューの提案として、
- 季節の定番お盆で提供するスタイル
- 定食スタイルの提案(通年)
- 麺類のアレンジ
- 1) 野菜の素揚げつけ蕎麦ご膳
- 2) すだちの季節の蕎麦
- 3) うどんのアレンジ
- 丼物アレンジ
- 1) 鶏天丼のアレンジ
- 2) 海鮮丼
- 近年の流行料理のアレンジ
- 1) おにぎり定食
- 2) キンパ定食
- 3) カレーのアレンジ(マッサマンカレー)
- 4) チキンライス(東南アジアスタイル)
- 喫茶メニューの提案手作り菓子
等を提案した。
うどんのアレンジ
おにぎり定食
Ⅲ. 料理 情報の対象別提供方法の検討
産品ごとの特徴や食べ方を写真やPOPで効果的にアピールすることで施設利用者に「塙町産きのこ」の魅力を知っていただき、購買につなげていくため、きのこ製品の写真やきのこ料理の写真の撮り方についての視点をいくつか提示し、生産者・事業者による商品撮影およびメニュー提示法の改善に貢献することを目指した。
1.食材 ・料理の撮影方法について
- 「きのこ の素材感」を生かした提示法例
商品 きのこ のパネル掲示売り場に「きのこ図鑑」的な「きのこ 自体の迫力ある写真と最低限の文字情報(名称・特徴・おすすめの食べ方など)をパネル掲示する。 - 料理写真の撮り方による印象の違い
-「飲食店のお客様向け」 -
盛り付けによる印象の違い、アップ撮影またはトリミングによるアピール食材の強調、撮影角度の工夫等。「主役の食材」が目立つ写真の撮り方の工夫の例
- 家庭でも作っておいしく召し上がっていただくためのレシピ情報の提供
-「飲食店・売り場のお客様向け」-
料理レシピを店舗(売り場、レストラン)で掲示、お持ち帰りレシピカードコーナーを設置、ダウンロードレシピの紹介、SNS発信など、家庭でキノコをおいしく召し上がっていただくための情報発信する際に、きのこ料理の「いろいろ感」を視覚的に表現する方法や,提供するレシピ用食材の撮影方法,撮影時のワンポイントアドバイスを解説した。
2.飲食店のお客様向け」メニューの掲示例について
「数種類のメニュー提示法を使い分ける方法」について,実際の事例を提示して,ポイントを解説した。これらを参考に,塙町道の駅レストランのメニュー掲示について,現行展示の解析と,改善点の提案を行った。
Ⅳ. 道の駅レストランでの提供可能な塙町特産キノコを用いた料理レシピの提案
令和 3 年度の委託事業において、16 点の調理レシピの開発およびレシピカードの作成を行った。令和4年度は、調理レシピの見直しを行い、レストランメニューの単品、セット、またテイクアウトとして時期や嗜好を考え活用出来るように以下の16品目のレシピを提案した。
- きのこライスコロッケ
- しいたけコロッケ
- きのこたっぷりごはん
- 鶏手羽のきのこ詰め~油淋ソース掛け~
- 鶏モモ肉のきのこ詰め~バルサミコソース~
- きのこのカプレーゼ
- きのこのおやき
- きのこのホイル焼き
- ローストビーフ~きのこソース掛け~
- きのこのスープ
- 本しめじの塩御飯
- きのこの佃煮
- きのこギョーザ
- きのこのクリームコロッケ
- きのこシチュー
- 鶏ときのこのカッチャトーラ
アレンジ:カッチャトーラ風スパゲッティ
6)きのこのカプレーゼ
11)本しめじの塩御飯
16)鶏ときのこのカッチャトーラ