管理栄養学科では、例年『聖栄葛飾祭』において、学生と教職員により身体計測体験や「食事バランスガイド」やパネルを用いての食生活の望ましいあり方を、参加者と共に考えるイベントを行っている。
将来、管理栄養士として巣立つ学生達にとって、大学祭に参加してくださった地域住民の方々とのマニュアルにはない質問、疑問に対しての対応や、コミュニケーションのとり方等、大学では学ぶことのできない貴重な体験となっている。
平成22年度『聖栄葛飾祭』では、さらに参加してくださった方々の食生活の現状の一端を知り、今後、食の専門家として、より現実に沿ったアプローチができるようになるため、アンケートを実施した。
なお、参加者の中から承諾を得た約30名の方々に後日のアンケートをお願いし、行動変容の実態を調査予定であるが、時間的に今回の報告には間に合わないため、今回は一次アンケートの結果のみの報告とする。
ポスター(学生作成)
準備から当日まで
準備する学生達
最終打合せ
リーダーの話を聞く
当日の様子
計測を待つ方々
参加者の皆さんと語る
計測中
子供達に大人気
アンケート結果
アンケート内容
- 実施日:
- 平成22年11月6日(土)・7日(日)『聖栄葛飾祭』において
- アンケートの方法:
- 実施日に来校、当企画に参加された方々に用紙を配布、記入していだき、集計。回答総数は、181名であった。
- アンケート内容:
- 保健指導プログラム事例集(平成19年4月厚生労働省保健)食習慣アンケートを参照した。(別紙)
- アンケート回答結果:
- 181名(男性56名、女性125名)
回答者内訳
Q1 食事回数:1日何回食べますか?
- 50代、60代が全員、3食摂ると答えている反面、20代、30代に不規則性(2食or4食)がみられた。
- 40代の2食と回答した方は、朝食抜きの理由を(時間がない)と答えている。
- ほとんどの方が(82%)、3食摂ると回答。
- また、10代と40代に4食との回答があったが、40代主婦は夫の夕食につきあっての4食とのコメント。
Q2 食事時間は?
- 20代~50代の現役世代が、食事時間が不規則であるとの回答。
(30代が少ないが、もともとの回答者数が少ないため) - 食事時間の中でも、とくに夕食時間が不規則であるとの回答が目立った。
※Q10で時間帯について詳しく述べる。
- 30代、40代に不規則であるとの回答が目立つ。
- 仕事の関係・・・5名
夜が遅くなるから
夫の帰宅時間が不規則のため など
Q3 食事を食べる早さ
- 20代の約半数が自分は食べるのが早いと感じ、40代の約半数が普通であると回答している。
- 今回の質問は、特に食事に要する時間を問うているわけではなく、あくまでも本人の感じ方についてである。このことについては、担当した学生達から、今後、時間について調査した結果と比較してみたいとの提案があり、今後の課題とした。
- ほとんどの方が、自分は食べる早さは普通であると答えている。男性と同じく、食事に要する時間を調査することを今後の課題とする。
Q4 食事の量は?
- Q2と同様、具体的に量や重さを示しての質問でないため、回答は本人の感じ方による。
- 約71%の方が普通であると回答している。
- 約72%が普通であると回答している。
- 40代で自分は大食いであるとの回答数が他の年代を抜いて一位となった。男性に比して、体型、体重に対して敏感に反応しているためか。今後の調査課題である。
Q5 味付けはいかがですか?
- 約60%の方が味付けは普通と回答している。
- 70代で対象者数は少ないが、普通と回答する方がなく、濃いまたは薄いと回答している。
- 58%が普通と回答。
- 40代に濃い味付けだと思うと回答。
- 男性と比較し、味付けは薄いと回答する方が各年代に平均している。
Q6 自宅での食事を準備するのはどなたですか?
- 20代と60代で自分が準備すると回答している方が目立つ。
- 66%が自分以外と回答。(内訳:10代、20代は母親、30代以降は妻と回答している。)
- 60代、70代で自分以外との回答の中で、嫁or娘との回答が出てくる。
- 10代、20代で自分以外、(母親)と回答しているが、その他は86%が自分が準備すると回答している。
Q7 外食の頻度は一週間のうち何回くらいですか?
- 各年代あわせて25%が外食はしないと回答。
- 30代、20代で5~6回の外食(昼食)と回答している方が目立つ。
- 3食中、どの食事と限定しての質問ではないので、昼食がすべて外食の場合外食5~6回との回答になる。今後は各食に分けて質問することで、また違う展開になると想定できる。
- 各年代あわせて44%が外食はしないと回答。特に40代の半数は外食はしないと回答している。(主婦の方が多いためか?)
- 男性と比較し、全体的に外食の回数は少ない。
Q8 夕食後、就寝するまでに何か食べることがありますか?
- 各年代あわせて、66%の方が食べないと回答。
- 食べると回答した方のうち、その内容について記入のあったもの菓子類と回答した方が最も多く、ついでチョコレート、アイス、果物であった。
- 各年代あわせて、食べないと回答した方が44%、食べると回答した方が56%
- 食べると回答した方のうち、その内容について記入のあったもの(複数回答あり)菓子類と回答した方が61%、果物、チョコレート、アイス、乳製品(ヨーグルトなど)と回答。変わったところでは「ご飯」の回答があった。
Q9 食生活で気をつけていることはありますか?(複数回答可)
- 各年代をあわせて54%の方が「野菜を多く摂るようにしている」と回答。
- 各年代をあわせて28%の方が「特になし」と回答。
- 「その他 気をつけていること」に対して次のような回答があった。
・サプリメントをとっている。
・炭水化物を控えている。
- 各年代をあわせて55%の方が「野菜を多く摂るようにしている」と回答し男女とも第一位であった。
- 各年代あわせて37%の方が「食べすぎないようにしている」と回答。
- 「その他気をつけていること」は野菜ジュース、カルシウムを摂るとの回答があった。
Q10 食生活でお困りのことはありますか?
- 20代、30代、40代で、夕食が遅くなることとその時間帯に対して困っていると回答が目立つ。
時間帯:9時から10時頃と回答が多いが、中には11時頃との回答が10名あった。 - 60代に料理が出来ないことが困ると回答しているのが目立つ。
- 各年代あわせて、夕食が遅くなることと、時間帯に対して困っていると回答。
時間帯:9時頃との回答が多い。11時との回答も2名(30代、40代)あった。
Q11 ご自由にお書きください。
男性
- 仕事の後で、夕食準備ができない。(20代)
- カロリーだけでなく栄養素のバランスに気をつけるようにしています。(40代)
- 食事より運動。(60代)
- 嫌いなものは何もない。何でもたべるようにしています。(70代)
- TVなど情報が多すぎます。振り回されないようにしている。(50代)
女性
- 昼食はすべて外食。(20代)
- 学生さんの雰囲気がとてもよく楽しかった。(30代)
- 米は玄米、油はオリーブ油、えごまなどで気をつけている。(40代)
- カルシウムが取りづらい。(40代)
- 1年で10kg太ってしまいました。(40代)
- 身体計測をすることで、食生活の反省のきっかけになるとよいです。(50代)
- 更年期と肥満は関係ありますか。(50代)
考察
本アンケートは、本学大学祭での管理栄養学科企画に参加しアンケートに答えてくださった方181名(男性56名、女性125名)の結果である。
管理栄養学科では「教えて!私の身体、大丈夫!?」として、将来、管理栄養士として社会に巣立つ学生達が中心となり、地域の方たちとのコミュニケーションをとりながら、身体計測等を通しての食と栄養関連の情報発信を目的として2年前から継続して企画されている。
今年度は、参加してくださる方々と身体計測の介助をしながらのコミュニケーション手段としてアンケートをとることで、さらに円滑に運営できるのではないかとの、学生からの提案で実施したものである。
参加学生の報告会での感想として
- Q8「夕食後、就寝するまでに何か食べることがありますか?」
- Q9「食生活で気をつけていることはありますか?」
- Q10「食生活でお困りのことはありますか?」
この3つの質問に対して、質問と会話が集中していたとのことで、改めて皆さんの関心の高さに気づいたようである。
また、Q10で夕食時間については、現役世代で仕事の都合で11時以降に夕食との回答が複数あり、学生は社会人としての厳しさに触れたとの感想があった。
アンケートに答えてくださった方からも、学生に対しての感想や貴重なアドバイスをいただくことができた。特に学生との会話で「語尾が小さい声になってしまうと、せっかく良いことを話してくれているのに・・・自信なさげに聞こえてしまうのが残念でした」との意見は、早速授業で活用させていただいている。
各質問に対しての回答結果と簡単な考察は、各結果の下段に記入した。
この結果から今後の課題も見えてきたと考えられるので、学生達は今後ターゲットを絞り調査したいとしている。
東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科
企画 「教えて!私の身体、大丈夫!?」
参加学生 4年生 20名 / 3年生 6名
臨床栄養学 教授 鈴木 和枝
准教授 高橋 祥子
助教 大塚 静子