<社団法人 日本フードスペシャリスト協会 共催>
平成23年10月8日(土)~9日(日)の2日間にわたり、日本フードスペシャリスト協会の助成を受けて、東京都が開催した「第5回 東京都食育フェア」に参画し、ポスター展示と試作品提示を行いました。
また、平成23年11月5日(土)~6日(日)の2日間にわたり、東京聖栄大学で開催した大学祭「聖栄葛飾祭」にも同じ企画を展示し、来場者にプレゼンテーションしました。
概要
1期生から3期生までの卒業生が、卒業研究として実施した「食」および「食育」に関わる内容のものを選び、小・中学生にも理解出来るように図解したポスターを展示しました。
絵、写真、図表を多くし、文章は少なめにして分かり易い表現にすることに留意しました。会場には常に学生が待機し、来場者とのコミュニケーションをとるように心掛けました。
また、4研究室からは試作品が提供され、来場者が自由に試食出来るようにしました。
I. ポスター展示
9の研究室から11枚のポスターが提出されました。それらは、表1のとおりです。
表1
番号 | 研究室 | 指導教員 | 卒業制作品 | 開発者 |
---|---|---|---|---|
1 | 微生物学研究室 | 丸井 | 食品のもつ抗菌効果 | 込山芽紅(22年卒)、 櫻井貴史(23年卒) |
2 | 食品開発研究室 | 井筒 | グミのテクスチャー ―水飴の添加量によるテクスチャーの変化と嗜好性― |
河野美希(4年)、 泊瀬川晶子(22年卒) |
3 | 食品開発研究室 | 井筒 | 雑穀に関する研究 ―雑穀添加麺の太さの違いがおいしさに及ぼす影響― |
嶋中健太(21年卒) |
4 | 調理科学研究室 | 品川 | “視覚”と”おいしさ”の科学 ―あなたの好きなテーブルクロスの色は?― |
川原美佳、八川亜樹、 大村有加、保坂遥 高橋栄夫、山口大樹(21年卒) |
5 | 食品学第一研究室 | 筒井 | シルクパウダー添加パンの開発 | 風張透(23年卒) |
6 | 栄養学研究室 | 前田 | 半脱脂米糠加工食品が高脂肪食ラットの体内脂量並びに血中脂質に及ぼす影響 | 阿部志保、菊地啓子、 菊地康子、森本季世、 新牛込英里(22年卒) |
7 | 食品衛生学研究室 | 眞木 | 光照射によるジャガイモの芽中のソラニン及びチャコニンの生成量について | 久保田渚絵(22年卒) |
8 | 食品学第二研究室 | 荒木 | ルバーブの機能性と調理特性についての研究 | 大嶋健一(22年卒) |
9 | 食品加工学研究室 | 片山 | 米粉の消費拡大に向けた米粉麺の開発に関する研究 | 松橋志帆(23年卒) |
10 | 調理学第二研究室 | 吉田 | 高校生の食生活調査 | 清水維子(3年) |
11 | 調理学第二研究室 | 吉田 | アレルギー対応クッキーの開発 | 奈良美里、 |
*各リンク先は各々のポスター(PDF文書)を開きます。
II. 提示試作品
4研究室から提供され、当日会場に展示した実物および試食品は、表2のとおりです。
表2
番号 | 研究室 | 指導 教員 |
卒業制作品 | 開発者 |
---|---|---|---|---|
1 | 食品開発研究室 | 井筒 | 最適な水飴添加量の試作グミと市販グミとの比較試食 | 河野美希(4年生) 泊瀬川晶子(22年卒) |
2 | 食品学第一研究室 | 筒井 | シルクパウダーを用いたパン(実物展示) | 風張透(23年卒) |
3 | 食品学第二研究室 | 荒木 | ルバーブジャム(リッツにルバーブジャムを載せて試食) | 大嶋健一(22年卒) |
4 | 食品学第二研究室 | 荒木 | ルバーブを使った菓子 ―ルバーブのパウンドケーキ(実物展示) |
|
5 | 食品学第二研究室 | 荒木 | ルバーブのお茶(実物展示) | |
6 | 調理学第二研究室 | 吉田 | アレルギー対応クッキーと非対応クッキーとの比較試食 |
III. 実施記録
東京都の「食育フェア」が開催された10月8・9日は、いづれも薄日のさす暖かい日で、主催者発表の来場者数は、約36,000人でした。10時開始にむけ、41番ブースの設営を仕上げ、スタッフ一同で記念撮影をしました。
次第にブースを訪れる人が増えてきました。
お向かいの東京家政大学の学生達(オレンジ色のユニフォームを着たスタッフ)も興味深げにポスターを見たり、試作品を試食していました。
食育推進ネットワークが開催したクイズラリーには、約700人が参加しました。本学では、「長く食べ物が保存できるカンづめとビンづめ。どちらが早く発明されたでしょうか?」という問題を出しました。答えは、(1)カンづめ、(2)ビンづめ、(3)同じとき、の三つから選びます。ラリー参加者の中には、学生にヒントを求める方もおり、「真空巻締め機(バキュームシーマー)の開発は難しかったようです」といったヒントで納得される場面がありました。
東京聖栄大学は、4年制になって7年目であり、どういう大学?どこにあるの?などと聞かれる方もおられました。新小岩にある聖徳栄養短大が前身です、と答えると「ああ!」と合点されていました。
2日目は、スタッフの一部が交代し、「試食実施中」の貼紙と声かけも積極的に行いました。その結果、2時頃には用意していった試作品は、ほぼ無くなり、スタッフ一同充実感を味わうことができました。
2日目のスタッフ一同です。4時に閉会し、後片付けと清掃をして薄暗くなる中、心地良い疲れを感じながら家路につきました。
「食育フェア」で展示したポスターは、11月5・6日に開催した本学の大学祭「聖栄葛飾祭」でも展示しました。
「聖栄葛飾祭」には近隣から家族連れで来られる方が多く、約3,000人の来場者を数えました。
「聖栄葛飾祭」では、各学生が夫々クラス、部、同好会等の出し物があって役割を分担していましたので、試作品を作る時間的余裕が無く、試作品の提示は省略しました。そのため、さすがに小学生はパネルの前を通り過ぎていました。しかし、高校生の中にはどういうことを卒業研究として取組んでいるのかと興味を示す場面も見られました。
IV. 総括
今回の(社)日本フードスペシャリスト協会の助成を受けた「一般向け啓発事業」に学生スタッフとして参加した10人、および教職員スタッフ8人は、幅広い年齢層の入場者と接し、種々の刺激を受けて新たな切り口を見出すことが出来ました。
開始当初は口数も少なく、恐る恐る対応していた学生も、次第に笑顔と大きな声も出るようになり、時間経過と共に自信を持てるようになっていった、と感じました。
卒業制作展という取組みは、教員にとっても始めてのものであり、些かの不安もありましたが、学生との協同作業を通じ、所期の目的を果たすことが出来たと考えます。
研究と教育に携わる者の立場で考えますと、今後の課題は、難しい話を易しく、易しい話を面白く、面白い話を深く話すことであると思いました。
なお、今回の取組みは食品学科の全教員の協力を頂いて実現出来たこと、また、管理栄養学科の協力も得て、「葛飾知っ得メモ」の3枚のパネル展示も行ったことを申し添えます。
企画・推進
東京聖栄大学
健康栄養学部 食品学科
- 教授
- 井筒 雅
- 准教授
- 荒木 裕子
- 講師
- 吉田 光一