1. 目的
本学は食の健康の専門家を養う大学として地域貢献活動を行っている。葛飾区においても高齢化社会が進み、高齢夫婦、高齢者独居者が今後も増えると予想されている中、毎日の食事の不安を抱えている高齢者も多いと考えられる。また、仕事や子育てに忙しく食事を作る時間を十分に取れない若い方や、食事作りを手伝いたい、作ってみたいが作り方がわからない、何を作っていいいかわからない人が多くいると考える。
本事業の目的は、そのような高齢者やそれを支える家族、ヘルパー、時間のない人、料理の作り方がわからない人、料理作りに不安のある方を対象に缶詰や冷凍食品を使い簡単な料理作りを体験してもらい、料理を作ることに興味を持ってもらうこととする。また「大人の食育」の一環として、実際に食事作りでどのようなことに困っているか実態調査をすることで、問題点を把握・整理し、食育事業への貢献につながる基礎資料とする。
地域貢献できる栄養士を目指す学生にとって、料理を作りたいが時間がない、作り方がわからない人たちを理解し、どのような情報発信をすべきかを体験できる良い機会となると考える。
2. 対象者
「聖栄葛飾祭」での本企画に興味を持たれた方
3. 実施者
東京聖栄大学 | 健康栄養学部 | 管理栄養学科 | 教授 | 宮内眞弓 |
東京聖栄大学 | 健康栄養学部 | 管理栄養学科 | 助手 | 藤田弘美 |
東京聖栄大学 | 健康栄養学部 | 管理栄養学科 | 学生 | 2年生4名、4年生12名 |
4. 実施期間
平成30年11月3日 | 11:00~11:30 | 14:00~14:30 |
平成30年11月4日 | 11:00~11:30 | 14:00~14:30 |
5. 企画内容
本企画は簡単料理、簡単おやつ作りの実演、試食を2日間合計4回行う。料理は本学4年生が中心となり缶詰や冷凍食品を使った簡単おいしい料理のレシピを考案しポスター作りを行った。学生が料理を作りながらポイントの説明を行う。実演、説明後試食する。本企画終了後アンケートを行い企画の評価を行う。また、学園祭に参加された方へ「食事作りの問題点に関する実態調査」を行う。
5-1. 作成メニュー (*画像クリックでPDFを表示します)
5-2. 会場の様子
11月3日 11:00~11:30 午前の部
11月3日 14:00~14:30 午後の部
11月4日 11:00~11:30 午前の部
11月4日 14:00~14:30 午後の部
当日準備の様子
当日準備の様子
当日準備の様子
会場の様子
会場の様子
(食事の感想を聞いている様子)
会場の様子
(参加者の受講の様子)
ポスター
*クリックでPDFを表示します
6. 参加者アンケート結果
アンケート用紙(資料2、資料3)
*クリックでPDFを表示します
回答者数
11月3日 午前の部 |
11月3日 午後の部 |
11月4日 午前の部 |
11月4日 午後の部 |
2日間 合計 |
|
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参加者 | 24名 | 34名 | 23名 | 18名 | 99名 |
有効回答者 | 20名 | 34名 | 19名 | 18名 | 91名 |
1)年齢
年齢 | 20歳 未満 |
20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | 80歳代 | 90歳 以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 3名 | 13名 | 3名 | 23名 | 16名 | 17名 | 13名 | 3名 | 0 |
>2)性別
男性 | 25名 | 女性 | 66名 |
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3)家族
一人暮らし | 夫婦2人 | 夫婦と子供 | そ の 他 | 無 記 名 | |
---|---|---|---|---|---|
人数 | 9名 | 26名 | 42名 | 11名 | 3名 |
4)食事を主に準備する人は誰ですか
女性 | 男性 | その他 | 無記名 | |
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人数 | 79名 (本人、妻、親含む) |
7名 (本人、夫含む) |
4名 (共同3名) |
1名 |
5)食事を作る上で困っていることはありますか(複数回答可)
食事を作る時間がない | 何を作ったらよいかわからない | 作る気がしない | 食材の無駄が多い | 食事の組み合わせがわからない | 買い物が大変 | お料理の作り方がわからない | 味付け方法がわからない | 作る体力がない | 作ることが難しい | 食事に興味がない | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 21名 | 19名 | 19名 | 19名 | 16名 | 9名 | 8名 | 7名 | 6名 | 4名 | 4名 |
6)学生の説明はわかりやすかったですか
わかりやすい | 82名 | 解答なし | 9名 |
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7)この催しは参考になりましたか
参考になった | 86名 | どちらともいえない | 2名 | 無記入 | 3名 |
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企画への意見
- 簡単だったので両親に作りたいと思います。
- 缶詰の使用は便利である。
- 献立が迷ったとき助かります。
- 作ってみたいと思います。
- 学生さんが研究してできたレシピなのがよくわかった。
- 器具をあまり使わず、簡単につくれて実際に自分で作れそうでよかった。
- 日頃の食卓に簡単にデザートを取り入れることができてよいと思った。
- 簡単にできるレシピで参考になった。
- 洗い物がないなどいいですね。
- 手軽に作れそうですね。
- 全て作りたいと思いました。
- 簡単でおいしくできるレシピの紹介ありがとうございました。
- 学生さん頑張ってください。
- 説明がわかりやすくおいしかったです。
- カップケーキの生地量を詳しく知りたかったです。
- 簡単で栄養バランス料理は高齢化社会の必須でしょう。参考になります。
- さば缶とてもタイムリーでした。
- 興味はあっても料理方法がわからなかった。非常に簡単でうれしい。
- 本当に簡単で一人暮らしの人、忙しい人にとても良いと思いました。
- 缶詰の簡単アレンジを教えていただき参考になりました。
- 簡単に作れて、自分にもできそうです。
- さばを見直すきっかけになった 。
- ハンバーグとても柔らかく子供や高齢者に食べやすいと思った 。
- 子供のおやつ作り、親の食事作りに参考にしたいと思います。
- 料理は簡単に作れるとハードルを下げてくれる企画だった。
- 簡単にできるものを教えて頂きやってみたいと思いました。
- おからとヨーグルトの組み合わせが新しく面白いと感じました。
- 調理せず(火を使わず)おからを食べる発想がなかったので。
- 他大学ではない企画でとても良いと思います。参考になりました。
- 食育を教育するのであれば「かんたん」だけではなく栄養のバランスも考慮する必要がある。
8)作ってみたいレシピはありましたか(「はい」の回答より)
- ・全て作ってみたい
- 8
- ・かんたんカップケーキ
- 12
- ・カルピスアイス
- 8
- ・切干大根和え
- 8
- ・さばポテトサラダ
- 7
- ・コーヒーゼリー
- 6
- ・鯖ハンバーグ
- 6
- ・カリカリチーズ
- 6
- ・親子丼
- 5
- ・鯖ご飯
- 5
- ・グラノーラグラタン
- 5
9)このような催しがあれば参加したいですか
はい | 81名 | どちらともいえない | 3名 | 無記入 | 6名 |
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10)ご意見
- 高血圧について調べているので、予防に効く食べ物をもっと知りたい。
- シーチキンの缶詰を使ってほしい。
- 学生さんの説明がわかりやすく、また、好感度が良い。
- うどんの味は良い、粘りがあるので少し食べづらい。
- ブロッコリー味噌の味が少ない。
- とり缶美味しい。
- 切干美味しい。
- 思いがけずに参加できました。調理に関心がありましたのでうれしい事でした。
- いつもマンネリになってしまって繰り返しなので、作ってみたいと思います。短時間でできるのが良いですね。
- 初めて参加しましたがたのしかった。また次回も参加したいです。
- 洗いもの少なく早くおいしいデザートが作れて勉強になりました。
- 子供でも楽しめますね。家で作ってみます。学生さんも頑張ってください。
- カップケーキのチーズがおいしかった。
- 身内に卵アレルギーの用事がいるので手作りおやつは、参考になりました。
- 甘酒を使ったものとか教えて欲しい
- 前で作業する人の手元が後ろの人には見えないので、手元が写せると良かった。
- カルピスアイスおいしかったです。
- コーヒーゼリーは少し苦かったです。
- ジップロックで作るというのがいいですね。
- 孫の簡単おやつつくりに参考になりました。ありがとうございました。
- カップケーキ美味しかったです。クリームチーズがアクセントになっていました。
- 後ろを出入り口にした方が出入りはしやすかったかもしれないです。
- カップケーキはホッケーキミックスと小麦粉5:5でも良いと思います。
- 簡単レシピはうれしいです。
- 黒板の絵は楽しい(2名)
- 大人の食育は大事です。
- もっと機会があればいいと思います。
- 例えばこうしても良いというのが多く大変わかりやすかったです。学生の発表の仕方がとても上手でした。作業時間をのせると良い。
- レバーのお料理が知りたい。
- 鶏レバー、豚レバー、牛レバーのちがいのおいしい料理を紹介ください。
- 母が買ってきたさば缶がたくさん残っている状況なので今日のレシピはとてもありがたかったです。
- 簡単で良かったです。量も調整できてよいが、水煮も味噌煮も塩分が気になる。
- 介護食などかんたんで飲み込みやすいレシピ等紹介して頂けたらと思います。
- 午前中に引き続き参加させていただきました。ありがとうございます。
- レシピのアイデアが良いですね。
- 手に入りやすいものばかりなので作ってみたいです。おいしかったです。
- おからとヨーグルトと黒豆、栄養満点でおいしい。
- 朝は時間がなく忙しいので手軽で栄養の取れるレシピは参考になりうれしいです。
- どのおやつも簡単に作れ、とても参考になりました。自分でも試そうと思います。
アンケートの結果は90%の参加者が学生の説明はわかりやすかったと回答していた。95%の参加者が参考になったと回答していた。2名がどちらともいえないと回答している。89%の参加者がまたこのような催しがあれば参加したいと回答していた。意見は良かったとの意見が多かったが、塩分について記載している記述や高齢者向けのレシピの希望、作業時間についての意見があった。
7. 総括
参加者は99名と予定の80名よりも多かった。男性が25名参加していることは、『聖栄葛飾祭』(大学祭)に、一人での参加より夫婦や友人との参加が多かったためと思われる。
家族構成は2世代が46%と半数近くを占めているが約30%が夫婦二人暮らしであった。家族が少なくなると食事を作る量が少なくなるため食材の無駄や食事作りにかける時間が問題となると考えられる。食事で困っていることの質問でも食材の無駄を上げる方が多くいた。食事の準備を主に行うのは予想通り女性(本人、妻)が87%と高かった。しかし、その中にも男性が8%近くいた。このことは働く女性が増えてきていることが一因と思われる。
食事を作る上で困っていることでは、「食事を作る時間がない」と23%の方が選んでいる。次いで「何を作ったらよいかわからない」、「作る気がしない」、「食材の無駄が多い」を21%の方が選んでいる。「食事の組み合わせがわからない」、「買い物が大変」、「お料理の作り方」がわからないなどが上がっている。「食事に興味がない」、「作ることが難しい」方も4名いた。特記すべきことは、「作る体力がない」を選んだのは20代だけであった。
これらのことにより、今回行った「簡単に作れる料理の提案」はどの世代にも必要であると考えられる。「食事の組み合わせがわからない」方への提案は十分にできなかったと思うが、他の項目にはある程度こたえることができたのではないかと考える。「この催しは参考になったか」との質問には、「はい」との回答が95%であったことからも理解を深める事ができる講習会だったと考える。自由意見においても効果的であった記述が多くあった。時間、場所の制約があるため多くのレシピを紹介することはできなかったが、簡単レシピはこれらの方に効果的な食育であったと考えられる。しかし簡単なだけではなく、食育として行うのであれば塩分の説明や減塩の工夫や作業時間の提示などの提案があると良いとの意見もあり次回の課題である。
学生の説明等もわかりやすかったとの回答が90%(解答なし10%)であり、学生は毎日この催しに対し、練習した効果である。学生は自ら企画、メニュー考案、レシピ図栗、試作を繰り返し、説明用のパワーポイントを作成するなど参加者に理解してもらうための工夫する過程は、アクティブラーニングとして学生達への高い教育効果に繋がったと考えられる。